金魚の眠り

うちの玄関には、金魚がいる。

お祭りですくった子。

ホームセンターからやってきた子。

2年前から、入れ替わり立ち替わり、

新しい命が来たり、お別れがあったりしながら、

今は2匹に落ち着いている。

ここ1年ほど、すっかり“今いるカップル”が定住している。その2匹が、とにかく大きい。

原因はたぶん、次男。

彼がエサやり担当になってから、成長スピードが明らかに加速した。

お祭りサイズだったはずの金魚は、いまや全長10センチ。お腹もたっぷり豊かで、悠々と泳いでいる。

次男は毎朝、忘れた日は夕方に、

せっせとエサを“少し多め”にあげる。

多め。そう、多め。

これが正解なのかどうか、私も夫も調べていない。

なんとなく、「まあ元気だし」と、

彼に任せている。

そんなある日。

その立派に育った金魚が、

酸素の筒と水槽の砂利に挟まって、

バタバタしているのを発見した。

このままでは弱ってしまうのではないか。

私は焦った。どうしたらいいのかわからず、あたふた。

すると長男が、「あ、これなら」と、

ひょいっと酸素の筒を持ち上げた。

金魚、すっと解放。

ああ、なんだ。こんなに簡単なことだったのか。

焦ると見えないことってある。

長男、すごいな。そう思った。

そして、ある日の車の中。私が何気なく言った。

「金魚ってね、寝るときも目が開いてるんだって。

まぶたがないから、閉じられないんだって。」

少し間があって、

次男が言った。

「そうかぁ……金魚には眉毛もないしね。」……。

眉毛?

金魚に?

この瞬間、頭に浮かんだのは、

あの、つるつるで、たゆたう体に――

くっきりとした眉毛。

キリッと太眉。

だめだ。面白すぎる。

夫にも長男にも話したら、

2人とも「あはは」と笑った。

きっと私が想像したのと同じ絵を頭に浮かべたんだと思う。

金魚に眉毛。

次男の頭の中は、今日も自由だ。

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